ゼロからでもピアノは弾ける

趣味ではじめた大人のピアノの記録。2004年に45才でバイエルからスタートしてクラシックの原曲に挑戦中。消音ピアノの活用や練習のヒント、工夫など。気が付けばピアノ歴10年越えです、相変わらず、下手です。はぁ・・・(^^)
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カワイ HAT-7 消音ピアノの問題点
●消音ピアノについて

田舎の一軒屋ならともかく、都市部ではピアノの「防音対策」は避けては通れない問題です。したがって、消音ピアノの性能の良し悪しは重要な問題です。このテーマに「伝聞」や「想像」ではなく、実証的に言及しているサイトは、まだまだ少ないようです。まあ、私の記事が少しでも参考になれば幸いです。

また、消音ピアノを生産しているヤマハ、カワイの二大メーカー、それから後付の消音ユニットを販売しているコルグのWebページやカタログを見ても、消音ユニットの構造について、あまり詳しい技術的解説が載っていません。

※ちなみに、サイレントピアノはヤマハの消音ピアノの商標です。

まあ、技術的解説は「見ても分からん」という方もいるかもしれませんが、世の中には私のような「技術的なことに興味があるピアノ弾き」もたくさんいると思います。各メーカーとも、感覚的な宣伝文言ではなく実証的なデータを消費者にPRして、互いに競って欲しいな、というのが個人的な願望です。同時に、古い消音ユニットを新しいものに載せ換えるサービスがあってもイイんじゃないかなあ、と考えています。

●私が最初に買ったピアノ

別項でも書きましたが、私はピアノを始めるに当たって、「安くても本物!」、「でも、マンションなので消音ユニット付」、「できるだけコンパクト」ということで中古ピアノを物色して、以下のピアノを購入しました。

* カワイ HAT-7 (高さ113cmのコンソール タイプの消音ピアノ。)
* 製造番号 2353XXX (1998 or 1999年製だと思います)

購入先はカワイの某直営ショップです。いちおう「カワイの工場でリニューアルしたもの」という事でした。

ピアノが到着して、よろこび勇んで練習を開始したものの、どうもピアノ歴3ヶ月あたり(2004年6月、ちょうどブルクミュラーを始めた頃)から、消音ユニットの性能に疑問を覚えるようになりました。

●消音ユニットの問題点

その問題点はというと、

(1)鍵盤を押す強さ(速さ)と音量が、どうもしっくりこない。
(2)たまにではあるが、突然ヘッドホンを投げ出したくなるような大音響がする。正直、心臓に悪い。
(3)そうかと思うと、鍵盤を押しているのに音が出ない。

の三点です。(1)に関しては、「消音ユニットとは所詮そういうもの」と言われればそれまでですが、(2)と(3)に関しては、ちょっと困ります。

(2)は、センサーのエラーか、消音ユニットの欠陥が原因の可能性が高いと思われます。センサーのエラーだとしたら、その原因はゴミかもしれません。(けど、鍵盤の裏側なんて普通掃除できない。) 消音ユニットの欠陥だとしたら、ユーザー側では如何ともしがたいです。

そして(3)ですが、これは正確に言うと、「鍵盤を完全に下まで押し下げないと音が出ない」という現象です。実これが一番の問題点です。

●「脱力」と矛盾するカワイ消音ピアノの挙動

ピアノの練習には「脱力が大切だ」とよく言われます。本を読んだりWebを調べたりしてみましたが、これは要するに、「無駄な力を使わない」ということになるようです。(ド初心者なので、誤解だったらゴメンナサイ。)

本やWebを見る限りでは、アップライトピアノでもグランドピアノでもその機構上、鍵盤を押し下げている【途中で】ハンマーが押し出され、そのハンマーが弦に当たって音が出ます。したがって、ハンマーが動いた後で鍵盤をぎゅうぎゅうと押さえつけるのは、力の無駄以外の何ものでもありません。真っ先に「脱力」して、必要な時間だけ鍵盤が戻らないようにソフトに押さえつけていればいいはずです。この時、鍵盤が完全に下りきっている必要はないようです。 (鍵盤が完全に下まで移動しなくて、わずかに浮いている状態でも音はちゃんと出る。)

適当なことを言っていると思われると困るので、実験してみました。

図1はHAT-7の鍵盤です。

図 1
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鍵盤を押し下げると図2のようになります。鍵盤の「下がり具合」をよく見ておいてください。

図 2
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さて、ここで「鍵盤が下がりきらない」状態で音が出るのか、鍵盤下降幅制限装置(?)を用いて鍵盤の動きを制約してみました。これが図3の状態です。

図 3
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この状態でも生ピアノならちゃんと音はでます。

試しに、ほかのピアノ(YAMAHAの消音グランドピアノ)でも実験してみました。生ピアノ状態でも、消音をオンにした状態でも、問題なく音が出ます。

そして、(ここからが肝心です)カワイのHAT-7では、消音状態にすると音が出ません。

正確に何ミリと測った訳ではありませんが、鍵盤がハンマーを送り出した時のクリック感を感じる位置より、かなり下まで鍵盤を押さえ込まないと音がでません。実際にピアノを弾く場合、感覚的なものですが、「一瞬鍵盤をギュと押さえつけないと音が出ない」というように私には感じます。

これって、「脱力するな」と言っているに等しくありませんか? 指先がハンマーを送り出す感覚ないしタイミングを捉えて、以後、必要最低限の力のみを指にかけることが、事実上できないんじゃないでしょうか? 本来必要ではない力をかけて鍵盤を押さえることを要求するようなカワイの消音ユニットの機構は、私にとっては「ピアノの上達を阻害する可能性が高い」と判断せざるを得ません。

特に問題となるのはpp〜pppを出すときです。

生ピアノなら、pp(あるいはppp)を出そうと思うと、ゆっくりハンマーを送り出すために必要十分な力で鍵盤をそっと抑えます。ハンマーを送り出して音が出たあとは、指を鍵盤に軽く乗せておけばよいはずです。(人によっては鍵盤を完全に下まで押し込まないかもしれません。あるいは、手首をふわっと下ろすような動作に応じて、音が出たタイミングよりずっと後で、鍵盤を完全に下まで押し込むかもしれません。)

ところが、カワイの消音ピアノでこの動作をすると、音が出なかったり、とんでもなく遅れたタイミングでバラバラに音が鳴ります。

ではどうするか、というと、とりあえず鍵盤を半分以上押して、ハンマーを送り出すクリック感を感じた直後にブレーキをかけ(生ピアノならこの時は既に音が出ている)、最後にギュと鍵盤を押し下げます。この押し下げるタイミングで音がでます。また、こうしないと和音の場合は同時に発声しません。要するに、生ピアノだと脱力するはずのタイミングで一番力をかけることになります。当然こんな弾き方ですから、きれいなppの音が出ません。

カワイの消音ピアノを持っている方、ぜひpp〜pppでドミソの和音を弾いてみてください。そして、生ピアノと消音状態で自分が半ば無意識に力をどうコントロールしているか確認してみてください。

(私の場合、途中まで気づかなかったのですが、ppを出そうとすると逆に力を入れる妙な癖がつきかけていました。)

●さらなる疑問点

この現象は、

(1)私のピアノに特有の現象で、調律で直るものなのでしょうか?
(2)それとも、カワイの消音ピアノの仕様上、必然的に発生する現象なのでしょうか?

カワイに問い合わせてもよいのですが、実は私も技術者の端くれ。自分で調べてみることにしました。

●消音ピアノのセンサー部分の構造

前に調律士さんが作業するところを見ていたので、ピアノのふたが案外簡単に外れるのは知っていました。さっそく分解(?)です。(図4)

図 4
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さらに鍵盤を一つだけ取り外してみます。(図5)

図 5
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中央に二つ穴の開いた灰色の部品が見えると思います。これがセンサーです。もう少し拡大してみます。(図6) (若干ピンボケ気味の写真ですが、ご容赦を。)

図 6
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このセンサーは柔らかいゴムで出来ていて、これを上から押さえつけることで音が出ます。試しにドライバーで押してみると、それでも立派に音が出ます。(図7)

図 7
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さて、センサーのこの構造を調べてみて、先ほどの二つの「疑問点」はほぼ解消しました。疑問点を再掲します。

「鍵盤を完全に下まで押し下げないと音が出ない」という現象は、

(1)私のピアノに特有の現象で、調律で直るものなのでしょうか?
(2)それとも、カワイの消音ピアノの仕様上、必然的に発生する現象なのでしょうか?

【答え】

カワイの消音ユニットの構造上、必然的に発生する現象です。上の図に示したゴム製のセンサーを十分に押し下げる位置まで鍵盤が来ないと、音が出ません。また、私の見た限りではセンサーの上下位置を調整するメカニズムはないようです。(本体に直接ねじ止めしてあります) どうしても調整しよう思ったら、センサーが取り付けてある基板の下に何かスペーサーを入れるしか無さそうです。(それでうまくいくか否かは、私は知りません。)

カワイの他の機種の消音機構がどうなっているか知りませんが、少なくとも私の購入したHAT-7に関しては、「鍵盤を完全に下まで押し下げないと音が出ない」というのは仕様と判断せざるを得ません。

また、「たまにではあるが、突然ヘッドフォンを投げ出したくなるような大音響がする」という現象の理由もほぼ推測ができます。要するに、ゴムの部分が滑らかに変形しないで、「ポコン」というように急激に変形する場合があると思われるのです。

いずれにしても、このピアノを買ったのは、「失敗」でした。生ピアノの音はそう悪くないのですが……トホホ……。

●今のカワイの消音ピアノはどうなのか?

結論から言います。知りません。

カタログを見る限り、当時(1998〜1999)のものから改善されているようですが、具体的にどうなっているのか知りません。また、その間に電子ピアノのタッチは大幅に改善されたようです。したがって、今のカワイの消音ピアノはもしかしたら改善されているのかもしれません。ただし、繰り返しになりますが、具体的にどうなのか、私は知りません。
| 坂上酔狂 | 消音ピアノ&IT活用 | 07:59 | - | - | - | -
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