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2011.01.31 Monday
ピアノ中級の壁(2)
前回の続きです。
前回は、「中級の壁」というものを定義してみました。
今回は、私の体験談です。「一般論」は、次回以降に改めて考えてみたいと思います。
●中級の壁/私の場合
さて、私の場合、中級の壁の最大のポイントは、読譜力不足でした。
いかにして、この中級の壁と遭遇し、その長いトンネルの中に入っていったのでしょうか?
●初級終了時の読譜力/一音限定読譜
ピアノの練習を本格的にスタートさせたのが、2004年3月31日(自宅にピアノが来た日)です。
そして、初級終了の目安であるブルクミュラーの最終曲、25番の「乗馬」(教本によっては「貴婦人の乗馬 」)にマルもらったのが、2008年1月23日です。 3年10ヶ月かかっています。
中高年のオヂサンがゼロから始めたケースとしては、まあ、そこそこの進度でしょう。
読譜力については、ピアノを始めた当初は「ドレミと順番に数えれば何とか音は分かる」程度だったのが、この頃には「何とか読める」状態になっていました。
ただし、それはまだ、まったく不十分なものでした。
この頃の楽譜の読み方は、「次に弾く音符を読む」というものでした。
具体的には、次のような感じです。
仮にこれを「一音限定読譜」と呼びましょう。
これだと、音は拾えるけど、音楽になりません。 結局、繰り返し練習して、ある程度、運指を体に覚えこませる形で暗譜しないと、たとえゆっくりでも「弾ける」という状態になりません。
この頃から、読譜力の無さを痛感していたので、何とかしたいと、いろいろ試行錯誤を重ねていました。
●インベンション1番の衝撃
ブルクミュラー終了と相前後して、2007年暮れ頃から、中級の教材として、
しかし、ツェルニーは早々に脱落。効果があるのは分かりますが、つまらないです。 結局、一つもマルもらっていません。
練習の中心は、ハノンとインベンションになりました。そのインベンションです。
わりと暗譜は得意なほうのはずだったのですが、まったく暗譜できません。
暗譜できないので、楽譜見ないと弾けません。
でも、楽譜見ると鍵盤が見れません。
鍵盤見ると、楽譜見れません。
結局、一音一音、タコのブツ切り状態(?)から一歩も前に進めません。
過去の自分のBlogを読み返してみると、2007年12月末には譜読みをスタート。 最初にレッスンで弾いたのが2008年1月9日。 そしてなんと、マルもらったのが2008年7月23日。
7ヶ月かかっています。
ちなみに、次に弾いた4番にマルもらったのが、2009年2月26日。
やっぱり7ヶ月。
次の8番のマルは、2009年12月9日。
9ヶ月半……………………。
2年でやっと3曲です。
しかも、最近、師匠のA先生が言うには「インベンションの最初のころは、音を切るところは切れてないし、ぜんぜんできていなかった」とのこと。 相当に甘い合格基準だったと思います。
ぜんぜん出来ない私も私ですが、忍耐強く付き合ってくださった先生もエライです。 普通の先生なら、きっと途中でブチ切れています。
まさに戦いでした。 中級の壁のトンネルに突入する戦いです。
でも、不思議とイヤではありませんでした。 面白かったです。 やっていて、自分の読譜力が鍛えられていくのが分かりました。 自分の弱点を克服するためにまさに必要な戦いをしているんだ、という実感がありました。
「戦う事が楽しかった」のです。
そして、この頃から、中級の壁というのを考え始めました。
●一音限定読譜から先読み読譜へ
その後のインベンションですが、少しはマシになってきました。
一覧表にすると、次のようになります。
15番に少してこずりましたが、2010年に入ってから明らかにスピードアップしています。
そして、少し前の記事でも書きましたが、最近、読譜力が目に見えて改善してきています。
弾いている音の一音か二音先だけど「先読みができる」という状態になってきています。
言葉にすると、前と大した差がないように見えますが、実際には劇的な差があります。
以前の「次に弾く音符を読む」という一音限定読譜の状態だと、脳は、読譜・運指の作業を「順番に」やります。 コンピュータ用語で言えば「シングルタスク」状態、一度に一つのことしかやっていません。 というか、できません。
しかも、その一つ一つの作業に、「意識を集中」させないといけません。当然、他の事は「お留守」になります。 曲の流れは、ブツ切り状態です。
ところが、「わずかだけど先読みができる」状態だと、脳はその作業を「並列に」処理しています。 「マルチタスク」状態です。 脳に、読譜、運指、音程確認をする別々の自動サブモジュールができつつある、ということです。
それから、鍵盤感覚が身についてきたので、大きく手を動かす場合以外は、いちいち鍵盤を見なくても指を動かせます。
「自動」サブモジュールと書いたのには、意味があります。 「自動」、すなわち、「無意識」のうちにいろいろな作業ができます。 そして、意識をより高次な作業、すなわち、「音楽」に集中できます。
そうです。 このスキルが欲しかったのです。
楽譜を見ながら弾く、という目標に明らかに近づいています。
ただし、まだモジュールの性能(?)が悪いので、スローペースでしかひけません。
でも、(そばで聞いている人にはどうだかわかりませんけど)初見に近い状態でも頭の中ではいちおう音楽が流れています。 音楽の流れに乗って弾いています。
もう少しスピードアップできれば、「少しだけど楽譜が読める」と言っていいと思います。
こうなるまで、3年かかりました。
まだ中級の壁を越えたとは言えませんが、少なくとも中間点は過ぎた、トンネル出口の明かりがかすかに見えたきた、と言えると思います。
続きはまた次回に……
前回は、「中級の壁」というものを定義してみました。
今回は、私の体験談です。「一般論」は、次回以降に改めて考えてみたいと思います。
●中級の壁/私の場合
さて、私の場合、中級の壁の最大のポイントは、読譜力不足でした。
いかにして、この中級の壁と遭遇し、その長いトンネルの中に入っていったのでしょうか?
●初級終了時の読譜力/一音限定読譜
ピアノの練習を本格的にスタートさせたのが、2004年3月31日(自宅にピアノが来た日)です。
そして、初級終了の目安であるブルクミュラーの最終曲、25番の「乗馬」(教本によっては「貴婦人の乗馬 」)にマルもらったのが、2008年1月23日です。 3年10ヶ月かかっています。
中高年のオヂサンがゼロから始めたケースとしては、まあ、そこそこの進度でしょう。
読譜力については、ピアノを始めた当初は「ドレミと順番に数えれば何とか音は分かる」程度だったのが、この頃には「何とか読める」状態になっていました。
ただし、それはまだ、まったく不十分なものでした。
この頃の楽譜の読み方は、「次に弾く音符を読む」というものでした。
具体的には、次のような感じです。
- 楽譜の次の音符を見る
- その音がなんであるか考える(場合によっては知ってる音から数える)
- 指使いを考える(指番号がふってあればそれを読む)
- 必要なら鍵盤の位置を見て確認する
- 指を動かす
- 自分の弾いた音を確認する
- 次の音符へ(時々、どこ弾いていたか分からなくなる。フギャア〜)
仮にこれを「一音限定読譜」と呼びましょう。
これだと、音は拾えるけど、音楽になりません。 結局、繰り返し練習して、ある程度、運指を体に覚えこませる形で暗譜しないと、たとえゆっくりでも「弾ける」という状態になりません。
この頃から、読譜力の無さを痛感していたので、何とかしたいと、いろいろ試行錯誤を重ねていました。
●インベンション1番の衝撃
ブルクミュラー終了と相前後して、2007年暮れ頃から、中級の教材として、
- ハノン(初級から継続)
- インベンション
- ツェルニー8小節の練習曲(ツェルニー30番の代わり)
- 発表会用の曲
しかし、ツェルニーは早々に脱落。効果があるのは分かりますが、つまらないです。 結局、一つもマルもらっていません。
練習の中心は、ハノンとインベンションになりました。そのインベンションです。
わりと暗譜は得意なほうのはずだったのですが、まったく暗譜できません。
暗譜できないので、楽譜見ないと弾けません。
でも、楽譜見ると鍵盤が見れません。
鍵盤見ると、楽譜見れません。
結局、一音一音、タコのブツ切り状態(?)から一歩も前に進めません。
過去の自分のBlogを読み返してみると、2007年12月末には譜読みをスタート。 最初にレッスンで弾いたのが2008年1月9日。 そしてなんと、マルもらったのが2008年7月23日。
7ヶ月かかっています。
ちなみに、次に弾いた4番にマルもらったのが、2009年2月26日。
やっぱり7ヶ月。
次の8番のマルは、2009年12月9日。
9ヶ月半……………………。
2年でやっと3曲です。
しかも、最近、師匠のA先生が言うには「インベンションの最初のころは、音を切るところは切れてないし、ぜんぜんできていなかった」とのこと。 相当に甘い合格基準だったと思います。
ぜんぜん出来ない私も私ですが、忍耐強く付き合ってくださった先生もエライです。 普通の先生なら、きっと途中でブチ切れています。
まさに戦いでした。 中級の壁のトンネルに突入する戦いです。
でも、不思議とイヤではありませんでした。 面白かったです。 やっていて、自分の読譜力が鍛えられていくのが分かりました。 自分の弱点を克服するためにまさに必要な戦いをしているんだ、という実感がありました。
「戦う事が楽しかった」のです。
そして、この頃から、中級の壁というのを考え始めました。
●一音限定読譜から先読み読譜へ
その後のインベンションですが、少しはマシになってきました。
一覧表にすると、次のようになります。
順番 | 曲名 | マルの日 | 期間 |
1曲目 | インベンション1番 | 2008年7月23日 | 7.1ヶ月 |
2曲目 | インベンション4番 | 2009年2月26日 | 7.3ヶ月 |
3曲目 | インベンション8番 | 2009年12月9日 | 9.5ヶ月 |
4曲目 | インベンション13番 | 2010年2月18日 | 2.4ヶ月 |
5曲目 | インベンション10番 | 2010年5月12日 | 2.8ヶ月 |
6曲目 | インベンション7番 | 2010年7月21日 | 2.3ヶ月 |
7曲目 | インベンション3番 | 2010年8月25日 | 1.2ヶ月 |
8曲目 | インベンション15番 | 2010年12月8日 | 3.5ヶ月 |
9曲目 | インベンション14番 | 2011年1月19日 | 1.4ヶ月 |
15番に少してこずりましたが、2010年に入ってから明らかにスピードアップしています。
そして、少し前の記事でも書きましたが、最近、読譜力が目に見えて改善してきています。
弾いている音の一音か二音先だけど「先読みができる」という状態になってきています。
言葉にすると、前と大した差がないように見えますが、実際には劇的な差があります。
以前の「次に弾く音符を読む」という一音限定読譜の状態だと、脳は、読譜・運指の作業を「順番に」やります。 コンピュータ用語で言えば「シングルタスク」状態、一度に一つのことしかやっていません。 というか、できません。
しかも、その一つ一つの作業に、「意識を集中」させないといけません。当然、他の事は「お留守」になります。 曲の流れは、ブツ切り状態です。
ところが、「わずかだけど先読みができる」状態だと、脳はその作業を「並列に」処理しています。 「マルチタスク」状態です。 脳に、読譜、運指、音程確認をする別々の自動サブモジュールができつつある、ということです。
それから、鍵盤感覚が身についてきたので、大きく手を動かす場合以外は、いちいち鍵盤を見なくても指を動かせます。
「自動」サブモジュールと書いたのには、意味があります。 「自動」、すなわち、「無意識」のうちにいろいろな作業ができます。 そして、意識をより高次な作業、すなわち、「音楽」に集中できます。
そうです。 このスキルが欲しかったのです。
楽譜を見ながら弾く、という目標に明らかに近づいています。
ただし、まだモジュールの性能(?)が悪いので、スローペースでしかひけません。
でも、(そばで聞いている人にはどうだかわかりませんけど)初見に近い状態でも頭の中ではいちおう音楽が流れています。 音楽の流れに乗って弾いています。
もう少しスピードアップできれば、「少しだけど楽譜が読める」と言っていいと思います。
こうなるまで、3年かかりました。
まだ中級の壁を越えたとは言えませんが、少なくとも中間点は過ぎた、トンネル出口の明かりがかすかに見えたきた、と言えると思います。
続きはまた次回に……
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