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2011.02.03 Thursday

ピアノ中級の壁(3)

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    前回までの続きです。 今回は、中級の壁の克服法の「一般論編」です。

    ●中級の壁の克服法(その1)

    一つは、「ひたすら上を目指す」方向から「音楽を楽しむ」方向へと、頭を切り替える事です。

    もちろん、「上を目指す」事と「音楽を楽しむ」事はけっして矛盾することではありませんが、どちらにより重きを置くか、ということです。

    具体的には、自分の実力に見合った曲を楽しみながら弾くように、気持ちを切り替えることです。 これは結果的には、ピアノ力を構成するテクニックを「定着」させることにつながります。

    そして音楽を楽しんでいるうちに、いつのまにか基礎が定着し、自然と難易度の高い曲が弾けるようになるはずです。

    この、「音楽を楽しむ路線」に方針転換できるなら、それに越した事はありません。

    多くのピアノ指導者がこの方針なのではないでしょうか?

    でも、ちょっと待ってください!!

    ●「上昇志向組」の憂鬱

    私にとって、そして、おそらくかなりの多数の方にとって、この「音楽を楽しむ路線」への変更は受け入れ難いものです。

    やっぱり、上を目指して挑戦し続けたいのです。

    この「上昇志向組」に、「音楽を楽しむ路線」の指導をするのは、逆効果です。

    これは重要なポイントです。

    ピアノへの情熱のかなりの部分が「上昇志向」によって支えられているので、その上昇志向を(たとえ、やんわりでも)否定する事は、ピアノへの情熱を否定する事になってしまうのです。

    指導者が親切心から言ったとしても、結果的にそうなります。 「あんたは、それまでよ」と言われた、という意識が拭いきれないのです。

    あるいは、自分で自分に向かって言う事もあるでしょう。 「もう、この辺で、ラクに弾こうじゃないか」と。

    でも、それは敗北宣言にすぎない事を、自分自身、知っています。

    だからと言って、ひたすら上を目指そうにも、上を目指す無理がきかない状態になっています。

    そこで、基礎練習重視に路線変更するのですが、単調な基礎練習には多くの方が耐えられません。

    ●中級の壁の克服法(その2)

    では、どうすればよいのか?

    これはもう、正攻法でいくしかありません。

    戦略目標を設定し、敵の弱点を見出し、戦力を的確に評価し、適切な戦術を考案し、兵力集中、各個撃破を図る。 軍略の王道です。

    やっぱり、こうじゃなくちゃいけません。

    ようするに、「ピアノと戦う」のです。

    実は、戦う事は、楽しいのです。 スポーツとか、チェスや将棋とか、あるいは困難なプロジェクトに挑むとか、人間、実は戦う事が好きなのです。

    音楽を楽しむのはもちろんですが、「ピアノと戦う事★も★楽しむ」ようにしましょう。 そう頭を切り替えましょう。

    ●最高の戦友

    では、「ピアノと戦う事も楽しむ」ために、最も重要な事はなんでしょうか?

    教本? 練習法? 指導者? 楽器?

    いえ、違います。

    それは、『希望』です。

    多少辛くても、地道に練習を続けていけば、いつか……いや、「いつか」ではいけません……現実的に想定できる時間のうちに、壁を突破できる、という『希望』です。

    上昇志向組は、希望さえあれば、頑張れます。

    今回の「中級の壁」シリーズの記事で、私が言いたい事の第一が、この「希望」です。

    希望こそ、最高の戦友です。

    ●欲しいのは成功事例

    ピアノを始めようかと迷っていた頃の事を思い出してみてください。 大人のピアノ未経験者にとって、「この年で始めてはたして弾けるようになるのか」という事が最大の懸念材料だったと思います。

    それに対して、「頑張れば弾けるようになる」という実例があれば、ものすごく大きな励みになります。

    そして、ネット上には(私にささやかなBlogを含めて)「弾けるようになる」というメッセージがたくさんあります。

    すなわち、「弾けるようになる」という希望が見えるのです。

    これが、「大人のピアノ」の増加の一つの原因ではないかと思います。

    一方、私の場合は読譜力の無さが「中級の壁」の最大のボトルネックでした。

    しかし、「楽譜が読めるようになるのか」という疑問に対しては、あまり明確な回答はありませんでした。 ネットのいろいろな書き込みを随分探しましたが、「中高年がゼロから始めて、まあまあ不自由なく楽譜が読めるようになった」という実例があまりにも少ないのです。

    ちなみに、「子供の頃やっていた」という再開組の例は、そこそこそ、あります。 でも、再開組の例は参考になりません。 子供の頃の記憶は脳の奥底にしっかり刻み込まれているはずです。 本人は意識していなくても、たとえ「楽譜が苦手」と言っていても、「ゼロから始めた人」が持っていない基礎力を既にたくさん持っているはずなのです。

    むしろ、ゼロからピアノを始めた方のBlogが、ちょうど初級後半から中級さしかかるあたりで更新が止まってしまうケースをたくさん見かけます。 ピアノは続けておられるのでしょうか? それとも、挫折してしまったのでしょうか? (私も、更新サボっていたので、人のことは言えないのですが……)

    あるいは、ピアノ教室などの宣伝で「読めるようになる」とうたっているものもあります。 でも、「こういう人がいる」という具体例が載っているものは、ほとんど無いと思います。 たくさんの初心者を指導しているはずのピアノ教室でも、成功事例は少ないのでしょうか?

    とにかく、「中級の壁」突破の成功事例が、切実に欲しいと思います。

    ●私の場合は成功事例とは言えませんが

    私が「中級の壁」と戦い始めた3年前、何が一番辛かったかと言うと、「希望が見えない」、「見通しが立たない」ことでした。

    これには、本当に困りました。

    ただ、読譜力がどこまで付くか分からないけど、「ピアノと戦う事も楽しむ」というように気持ちを切り替えようとだけはしていました。

    しかし、どうやら何とかなりそうです。 屁理屈オヂサンのささやかな体験ですが、中級の壁突破の希望を持つ根拠の一つにしていただければ幸いです。



    次回へ続きます……



    JUGEMテーマ:音楽
    コメント
    はじめまして。子供の頃習っていた再開組です。読譜できる人は本を声を出して読むような自然な感覚でさらさらと弾きますよね。
    私はいつまでたっても音符を数えながらでないと読めないので、途中でもう楽譜を読みながら弾くのを諦めて譜読み後は完全暗譜をするような形になってきてしまいました。暗譜というより暗記でしょうか。
    完全に音と手の動きを記憶していけば少々難しめの曲でも相当時間をかければ弾けますよね。
    ですがこれじゃあ手の動きだけ覚えてもゲームをやってるのと何も変わらないじゃないかという疑問もわいてきたりしてどうも壁を越せそうもない感じになりそうです。

    続きを楽しみにしています。
    • 2011.02.04 Friday 12:22
    「こ」様・・・でよろしいですよね? (^^)
    コメント、ありがとうございます。

    「再開組」の方でも、「楽譜が苦手」という方はけっこういらっしゃるみたいですが、ちょっと本文では「表現きつめ」になってしまったかもしれません。お許しください。

    ご期待にそえるかどうか分かりませんが、続編のほうは近々アップしたいと思います。

    よろしくお願いします。
    • 坂上酔狂
    • 2011.02.04 Friday 20:34
    なんというか先日の先生との会話を聞かれたのではないか?
    と思われる今回の内容にまたまた驚きです。

    天(先生)から「音大に行くわけでもないのに何故基礎をやりなおす必要があるのか」
    といった趣旨の声を受けました。

    まさに『音楽を楽しむ路線への変更』を促されておりまして、
    ものすごくやる気を失っております。

    その日は思いも寄らぬスピリットな話を説明させられまして、
    「作品を完成させる楽しみもあるけれど、ピアノと向き合っていることが楽しい」とか
    「基礎固めに挑戦する理由は音楽や芸術とは別物(アスリート感覚?)かもしれませんね」
    などと言ってみたりもしました。
    最後はなんとなく納得していただいたと思うのですが、
    まったく疲れ果てました。
    まず中級の壁の前に先生の牙城を突破しなければなりません。

    しかも「やるなら徹底的にやりますけど」みたいな脅迫コメントまでいただきました。
    なぜ基礎を教えることがそんなに困られるのか、私には理解できません。(涙)

    先生はしぶしぶですが、なんとなく基礎を教えてくれそうな雰囲気まで持ち込んだので、
    挑戦はできそうです。
    何年かかってもいいという気持ちはあるし、『希望』も少しあります。

    坂上様のこの3年間の戦いの日々を早く読みたいです。
    • 中級おばさん
    • 2011.02.04 Friday 22:15
    中級おばさん様
    コメント、ありがとうございます。

    師事している先生が、基礎を教えることに消極的とのこと。確かに、不思議な気がします。

    まったくの想像ですが、『過去において、基礎重視で教えていた生徒が耐え切れずにピアノを辞めてしまった』とか、『先生自身の若い頃の基礎練習が辛いものであった』とか、そういった理由があるかもしれませんね。

    それから、「やるなら徹底的にやりますけど」という先生の言葉は、ちょっと不安を覚えます。というのは、「ツェルニー、ガンガン、スパルタ式」みたいな練習は、効果の程にちょっと疑問があると思うからです。

    続きは、また、本文の方で。
    • 坂上酔狂
    • 2011.02.05 Saturday 07:55
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