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2011.02.11 Friday
ピアノ中級の壁(5)
前回の続きです。
具体論です。(やっとここまで来ました……笑)
今回は、主に教本について。
具体論になると、異論、反論、たくさんあると思います。
でも、あえて「考えるヒント」を提供する意味で、独断と偏見で書かせていただきます。
●現実的な練習時間
将来、音大に進学するような若い方なら、毎日5時間とか10時間とか練習しているのでしょうけど、大人の場合、「平日30分〜1時間、休日2、3時間」ぐらいでも「相当に練習している」部類に属すると思います。
あれも必要、これも望ましい、と欲張っても、それは兵力分散の愚を犯す事になりますから、だいたい上の練習時間を想定して、現実的な範囲で考えます。
また、この文章で想定しているのは、基本的に「大人でゼロから始めた」「何とか中級にたどりついた」方の場合です。 再開組の方には当てはまらない場合も多いと思いますから、あらかじめご承知おきください。
●理想は三本立て
中級(特に中級前半)で良く使われる教本について、難易度と、総合/個別の別で考えてみます。
「総合/個別」というのは、前に述べた基礎力不足トライアングルの主としてどこに(全て/一部)に働きかけるのか、という分類です。 (図を再掲しておきます)
もし、比較的長め(平日1時間など)の練習時間がとれるなら、理想は、以下の三冊を併用する事だと思います。
三冊体制の場合、練習曲を「難しめ+易しめ」の組合せにするのがポイントです。
「難しめ+難しめ」の組合せだと、長い練習時間が必要ですし、なかなかマルもらえないので、メゲてしまいます。
レッスンに行って、「ハああぁぁ、今日もダメだった……。でも、ハノンにマルを一つもらえたから、ま、いっかぁ」というのは、モチベーション維持のためにとても重要です。
一方、「易しめ+易しめ」の組合せだと、つまんないです。 上昇志向組はスルーです。
●正面攻撃と間接支援の組合せ
(正面攻撃と間接支援の意味は、前回の記事を見てください。)
素朴に考えると次の組合せなのですが、
逆もありえます。
実は私はこのパターンです。 これはインベンションの特徴に依るところが大きいです。
インベンションは、読譜力、指の独立、音感のすべてをバランスよく鍛えると同時に、弱点を自動的(?)に見つけてそこに集中砲火(??)を浴びせるインテリジェント・ハイテク兵器(????)なのです。
練習曲の教本が、二冊とも正面攻撃になってしまうのは避けましょう。 やってて、しんどいです。 基礎力アップのバランスも欠きます。
「発表会用の曲」を含めて、三冊が正面攻撃になると、さらに厳しいです。 中級の壁で挫折してピアノを辞めるパターンの一つだと思います。
例えば、指の独立がまだ十分出来ていないのに、「発表会用の曲」としてテンポが速くテクニックを要する曲を選び、指が回らないという事でハノンとツェルニーをやりまくるも、結局、うまくいかなくて限界を感じてイヤになる、というようなパターンです。
一方、練習曲が二冊とも間接支援、というのは、「あり」かもしれません。 その場合は、「発表会用の曲」が正面攻撃で、練習曲はサポートに徹する、という形をとることになります。
●それで、三冊の場合のオススメは?
大人でゼロから始めた方には、読譜力不足、指の独立不足、音感不足のいずれについても、「発表会用の曲+インベンション+ハノン」を一番のオススメとします。 これは、私が実際にやってみてベストだと感じた組合せです。
ハノンは、スケールやアルペジオといった基本パターンの練習用ですから、同等の効果を持つ別の本でも構わないと思います。
もし、指の独立や鍵盤感覚に自信がおありなら、ハノンの替りに別の弱点補強の本(or練習法)でもよいと思います。
一方のインベンションですが、これに替わる本は、なかなか無いと思います。 どうしてもバッハのインベンションが合わなければ、他のジャンル(古典、ロマン、近現代)の小曲集等に替えることも考えられます。
再開組の方は、私自身がそうではないので想像でしかモノが言えませんが、読譜力不足がボトルネックなら、やはり上の組合せが有効なのではないでしょうか?
●二冊の場合:「発表会用の曲」と「個別/易しめの練習曲」
練習時間等の関係で、三冊は厳しい、という場合は、上で挙げた三冊のうち、どれかとどれかを兼用して二冊に減らす必要があります。
その場合は、「発表会用の曲」と「総合/難しめの練習曲」を兼用することになると思います。
使う本は、二冊。 「発表会用の曲」と「個別/易しめの練習曲」です。
ただ、後で書きますが、この組合せにこだわらない方がいい場合もありそうです。
●ツェルニー30番の罠
本を二冊、「発表会用の曲」と「個別/易しめの練習曲」の組合せで、練習曲をツェルニー30番にした場合です。 「発表会用の曲+ツェルニー30番」の組合せです。
単なる想像ですけど、もしかしたらこれ、「ゼロから始めた組」が、中級の壁で挫折する最多パターンです。
ゼロから始めた人は、読譜力不足(暗譜しないと弾けない/自然と暗譜できてしまう)が一番の弱点である場合が多いと思います。
発表会用の曲は、おそらく暗譜します。暗譜頼み弾きになります。
一方、ツェルニー30番は、さほど複雑な内容ではありませんし、スピードも要求されるので、やはり、暗譜頼み弾きになります。
いずれも、読譜力の訓練としては、不十分です。 正面攻撃不在の状態です。 一番の弱点が補強されません。
その結果、いつまでたっても読譜力が育たない。 弾ける曲は、暗譜しているいま練習中の一曲だけ。(←私の事です)
そのくせ、いちおう中級レベルの教本のはずのツェルニー30番だけは、淡々と進む。 進む割には、上手くなった実感が沸かない。
読譜力不足の自覚は(多分)ある。 だから、ソルフェージュとか、簡単な曲の初見練習とかに手を出すのですが、時間が無い、意欲が続かない、やり方がよく分からない。で、中途半端で止まってしまう。(←私の事です)
しょせん、私って、こんなもの? …… それで、あえなく、撃沈。
「ツェルニー30番の罠」です。
三冊使う場合は、三冊目に読譜力アップに有効な教材を使えばよいのですが、三冊目がハノンだったりすると、同じ事です。
ところが、「発表会用の曲+ハノン」の場合は、意外と大丈夫かもしれません。 ハノンを「中級用の本」だと思う人は誰もいないからです。
そうです。ツェルニー30番が曲がりなりにも「中級」なのが問題なのです。 「中級の本やってるのに、腕前がぜんぜん中級にならない」と思うのがマズいんです。 これが心理的な陥穽になっているのです。
ここで、誤解なきようにお願いしたいのは、「再開組」には上のパターンが必ずしも当てはまらないという事です。
ブランクが長いと、ぜんぜん弾けなくなってしまうそうですが、楽譜のほうは読める(あるいは、読み方が下手になっていたとしても比較的短期間で勘を取り戻せる)のだと思います。
したがって、読譜力不足が弱点になっていない。 むしろ、「指の独立」を鍛える事が重要で、そのためには、(嫌いでなければ)ツェルニー30番は良い練習になっているだと思います。
ツェルニー30番は中級の練習曲の定番です。 しかし、これを「ゼロから始めた組」に使う事には慎重さが必要です。
●それで、二冊の場合のオススメは? (1)
正直、二冊の場合の組合せは難しいです。
ひとつは、「発表会には出ない」と割り切って、「インベンション+ハノン」とすることです。 「総合/難しめの練習曲+個別/易しめの練習曲」の組合せです。 この場合は、ハノンの替りにツェルニー30番でもいいかもしれません。
三冊の場合と同様、読譜力不足、指の独立不足、音感不足のいずれについても、有効だと思います。
かなり「禁欲的(?)」な組合せですが、イヤでなけば実力アップの一番の近道だと思います。
ちなみに、それでも発表会に出たいという方に一言。
発表会でバッハを弾くのは、師匠曰く「相当に勇気がいる」ことだそうです。
はい、私、インベンションで発表会に出て、途中で真っ白になって演奏中止になってしまったことがあります。今までで最悪の失敗です。師匠の言うとおりです。 「すみません、弾けません」と言って、ミジメの塊になってステージを降りたときの悔しさは、一生忘れられません。
バッハ、超カンペキに暗譜するか、読譜力が相当につくまでは、発表会で弾かないほうが身のためです。
●それで、二冊の場合のオススメは? (2)
二冊の場合のもう一つの組合せは、「発表会用の曲+X」です。
ただ、この「X」に何を使うか、非常に難しいのです。
(1) 読譜力が弱点の場合
「X」にツェルニー30番を使うと、上で述べた「ツェルニー30番の罠」にはまる危険性があります。 それに気をつけながら、使う、という手はあります。
ハノンだと、罠にははまりにくいけど、読譜力アップにいまひとつ。
インベンションだと、効果は高いのですが、負担が大きすぎます。 下手をすると、同じ曲を延々と弾き続けることになってしまって、モチベーション維持が難しい。
アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集とかプレ・インベンションとかありますが、やった事ないので、よく分かりません。 (下にアマゾンへのリンク、入れておきます。)
というワケで、すみません。 私の知識では、「X」のオススメは分かりません。
「X」が持つべき特徴は、次の通りです。
(2) 指の独立が弱点の場合
この場合は、比較的単純です。 「X」はハノンやツェルニー30番や、その他同系統の本でOK。 マシンガンのごとく動く指を目指して、頑張ってください。(笑)
(3) 音感が弱点の場合
これが一番難しいです。 申し訳ありませんが、私にはこれ以上言及する資格が無さそうです。
●一冊の場合:発表会用の曲のみ
次は、コレなのですが、ちょっと長くなりましたので、また次回に……。
今回は、主に教本について。
具体論になると、異論、反論、たくさんあると思います。
でも、あえて「考えるヒント」を提供する意味で、独断と偏見で書かせていただきます。
●現実的な練習時間
将来、音大に進学するような若い方なら、毎日5時間とか10時間とか練習しているのでしょうけど、大人の場合、「平日30分〜1時間、休日2、3時間」ぐらいでも「相当に練習している」部類に属すると思います。
あれも必要、これも望ましい、と欲張っても、それは兵力分散の愚を犯す事になりますから、だいたい上の練習時間を想定して、現実的な範囲で考えます。
また、この文章で想定しているのは、基本的に「大人でゼロから始めた」「何とか中級にたどりついた」方の場合です。 再開組の方には当てはまらない場合も多いと思いますから、あらかじめご承知おきください。
●理想は三本立て
中級(特に中級前半)で良く使われる教本について、難易度と、総合/個別の別で考えてみます。
「総合/個別」というのは、前に述べた基礎力不足トライアングルの主としてどこに(全て/一部)に働きかけるのか、という分類です。 (図を再掲しておきます)
もし、比較的長め(平日1時間など)の練習時間がとれるなら、理想は、以下の三冊を併用する事だと思います。
- 発表会用の曲
-
全員が発表会に出るわけではありませんが、便宜的にこう呼ばせていただきます。
自分が弾きたい曲の事です。
基本的に、難しめ。
- 総合/難しめの練習曲
-
基礎力不足トライアングルのすべてに働きかける練習曲。
練習曲だが、かなりの芸術性を有する場合が多い(発表会で弾いてもOK)。
難易度も高い。
バッハのインベンション、ブルクミュラー18の練習曲、ソナチネなど。
- 個別/易しめの練習曲
- 基礎力不足トライアングルの特定の部分に働きかける練習曲。 単純なパターン練習の場合が多い。 芸術性はあまり無い。 難易度は低い。 ハノン、ソルフェージュで用いられる視唱用の練習曲など。 ツェルニー30番は、ちょっと微妙(中難易度?)ですが、こちらに分類。
- 総合/易しめの練習曲
-
「音楽を楽しむ路線」の方なら、「基礎固め」という意味で、よいのかもしれません。
しかし、上昇志向組はスルーです。
- 個別/難しめの練習曲
- 例えば、ツェルニー50番とか、ハノンを卒業したような方が使うリトル・ピシュナとか、クラーマー=ビューロー60番などです。 中級の壁(中級初期〜前半)で悪戦苦闘している段階では、時期尚早です。
三冊体制の場合、練習曲を「難しめ+易しめ」の組合せにするのがポイントです。
「難しめ+難しめ」の組合せだと、長い練習時間が必要ですし、なかなかマルもらえないので、メゲてしまいます。
レッスンに行って、「ハああぁぁ、今日もダメだった……。でも、ハノンにマルを一つもらえたから、ま、いっかぁ」というのは、モチベーション維持のためにとても重要です。
一方、「易しめ+易しめ」の組合せだと、つまんないです。 上昇志向組はスルーです。
●正面攻撃と間接支援の組合せ
(正面攻撃と間接支援の意味は、前回の記事を見てください。)
素朴に考えると次の組合せなのですが、
正面攻撃 | → | 個別/易しめの練習曲 | 弱いところを集中して練習 |
間接支援 | → | 総合/難しめの練習曲 | 間接支援と同時に全体の底上げ |
逆もありえます。
実は私はこのパターンです。 これはインベンションの特徴に依るところが大きいです。
インベンションは、読譜力、指の独立、音感のすべてをバランスよく鍛えると同時に、弱点を自動的(?)に見つけてそこに集中砲火(??)を浴びせるインテリジェント・ハイテク兵器(????)なのです。
正面攻撃 | → | 総合/難しめの練習曲 | インベンションのスペシャル技 |
間接支援 | → | 個別/易しめの練習曲 | 第2の弱点(例えば指の独立)を補強しながら間接支援 |
練習曲の教本が、二冊とも正面攻撃になってしまうのは避けましょう。 やってて、しんどいです。 基礎力アップのバランスも欠きます。
「発表会用の曲」を含めて、三冊が正面攻撃になると、さらに厳しいです。 中級の壁で挫折してピアノを辞めるパターンの一つだと思います。
例えば、指の独立がまだ十分出来ていないのに、「発表会用の曲」としてテンポが速くテクニックを要する曲を選び、指が回らないという事でハノンとツェルニーをやりまくるも、結局、うまくいかなくて限界を感じてイヤになる、というようなパターンです。
一方、練習曲が二冊とも間接支援、というのは、「あり」かもしれません。 その場合は、「発表会用の曲」が正面攻撃で、練習曲はサポートに徹する、という形をとることになります。
●それで、三冊の場合のオススメは?
大人でゼロから始めた方には、読譜力不足、指の独立不足、音感不足のいずれについても、「発表会用の曲+インベンション+ハノン」を一番のオススメとします。 これは、私が実際にやってみてベストだと感じた組合せです。
ハノンは、スケールやアルペジオといった基本パターンの練習用ですから、同等の効果を持つ別の本でも構わないと思います。
もし、指の独立や鍵盤感覚に自信がおありなら、ハノンの替りに別の弱点補強の本(or練習法)でもよいと思います。
一方のインベンションですが、これに替わる本は、なかなか無いと思います。 どうしてもバッハのインベンションが合わなければ、他のジャンル(古典、ロマン、近現代)の小曲集等に替えることも考えられます。
再開組の方は、私自身がそうではないので想像でしかモノが言えませんが、読譜力不足がボトルネックなら、やはり上の組合せが有効なのではないでしょうか?
●二冊の場合:「発表会用の曲」と「個別/易しめの練習曲」
練習時間等の関係で、三冊は厳しい、という場合は、上で挙げた三冊のうち、どれかとどれかを兼用して二冊に減らす必要があります。
その場合は、「発表会用の曲」と「総合/難しめの練習曲」を兼用することになると思います。
使う本は、二冊。 「発表会用の曲」と「個別/易しめの練習曲」です。
ただ、後で書きますが、この組合せにこだわらない方がいい場合もありそうです。
●ツェルニー30番の罠
本を二冊、「発表会用の曲」と「個別/易しめの練習曲」の組合せで、練習曲をツェルニー30番にした場合です。 「発表会用の曲+ツェルニー30番」の組合せです。
単なる想像ですけど、もしかしたらこれ、「ゼロから始めた組」が、中級の壁で挫折する最多パターンです。
ゼロから始めた人は、読譜力不足(暗譜しないと弾けない/自然と暗譜できてしまう)が一番の弱点である場合が多いと思います。
発表会用の曲は、おそらく暗譜します。暗譜頼み弾きになります。
一方、ツェルニー30番は、さほど複雑な内容ではありませんし、スピードも要求されるので、やはり、暗譜頼み弾きになります。
いずれも、読譜力の訓練としては、不十分です。 正面攻撃不在の状態です。 一番の弱点が補強されません。
その結果、いつまでたっても読譜力が育たない。 弾ける曲は、暗譜しているいま練習中の一曲だけ。(←私の事です)
そのくせ、いちおう中級レベルの教本のはずのツェルニー30番だけは、淡々と進む。 進む割には、上手くなった実感が沸かない。
読譜力不足の自覚は(多分)ある。 だから、ソルフェージュとか、簡単な曲の初見練習とかに手を出すのですが、時間が無い、意欲が続かない、やり方がよく分からない。で、中途半端で止まってしまう。(←私の事です)
しょせん、私って、こんなもの? …… それで、あえなく、撃沈。
「ツェルニー30番の罠」です。
三冊使う場合は、三冊目に読譜力アップに有効な教材を使えばよいのですが、三冊目がハノンだったりすると、同じ事です。
ところが、「発表会用の曲+ハノン」の場合は、意外と大丈夫かもしれません。 ハノンを「中級用の本」だと思う人は誰もいないからです。
そうです。ツェルニー30番が曲がりなりにも「中級」なのが問題なのです。 「中級の本やってるのに、腕前がぜんぜん中級にならない」と思うのがマズいんです。 これが心理的な陥穽になっているのです。
ここで、誤解なきようにお願いしたいのは、「再開組」には上のパターンが必ずしも当てはまらないという事です。
ブランクが長いと、ぜんぜん弾けなくなってしまうそうですが、楽譜のほうは読める(あるいは、読み方が下手になっていたとしても比較的短期間で勘を取り戻せる)のだと思います。
したがって、読譜力不足が弱点になっていない。 むしろ、「指の独立」を鍛える事が重要で、そのためには、(嫌いでなければ)ツェルニー30番は良い練習になっているだと思います。
ツェルニー30番は中級の練習曲の定番です。 しかし、これを「ゼロから始めた組」に使う事には慎重さが必要です。
●それで、二冊の場合のオススメは? (1)
正直、二冊の場合の組合せは難しいです。
ひとつは、「発表会には出ない」と割り切って、「インベンション+ハノン」とすることです。 「総合/難しめの練習曲+個別/易しめの練習曲」の組合せです。 この場合は、ハノンの替りにツェルニー30番でもいいかもしれません。
三冊の場合と同様、読譜力不足、指の独立不足、音感不足のいずれについても、有効だと思います。
かなり「禁欲的(?)」な組合せですが、イヤでなけば実力アップの一番の近道だと思います。
ちなみに、それでも発表会に出たいという方に一言。
発表会でバッハを弾くのは、師匠曰く「相当に勇気がいる」ことだそうです。
はい、私、インベンションで発表会に出て、途中で真っ白になって演奏中止になってしまったことがあります。今までで最悪の失敗です。師匠の言うとおりです。 「すみません、弾けません」と言って、ミジメの塊になってステージを降りたときの悔しさは、一生忘れられません。
バッハ、超カンペキに暗譜するか、読譜力が相当につくまでは、発表会で弾かないほうが身のためです。
●それで、二冊の場合のオススメは? (2)
二冊の場合のもう一つの組合せは、「発表会用の曲+X」です。
ただ、この「X」に何を使うか、非常に難しいのです。
(1) 読譜力が弱点の場合
「X」にツェルニー30番を使うと、上で述べた「ツェルニー30番の罠」にはまる危険性があります。 それに気をつけながら、使う、という手はあります。
ハノンだと、罠にははまりにくいけど、読譜力アップにいまひとつ。
インベンションだと、効果は高いのですが、負担が大きすぎます。 下手をすると、同じ曲を延々と弾き続けることになってしまって、モチベーション維持が難しい。
アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集とかプレ・インベンションとかありますが、やった事ないので、よく分かりません。 (下にアマゾンへのリンク、入れておきます。)
というワケで、すみません。 私の知識では、「X」のオススメは分かりません。
「X」が持つべき特徴は、次の通りです。
- 基本的に、「個別/易しめの練習曲」。
- 暗譜しづらいものがよい。 イヤでも楽譜を見るようになる。
- できれば、指の独立の訓練にも役立つものがよい。
- 易しめのものがよい。 1〜3回ぐらいのレッスンでマルもらえて、「進んでいる」という実感が持てるものがよい。
(2) 指の独立が弱点の場合
この場合は、比較的単純です。 「X」はハノンやツェルニー30番や、その他同系統の本でOK。 マシンガンのごとく動く指を目指して、頑張ってください。(笑)
(3) 音感が弱点の場合
これが一番難しいです。 申し訳ありませんが、私にはこれ以上言及する資格が無さそうです。
●一冊の場合:発表会用の曲のみ
次は、コレなのですが、ちょっと長くなりましたので、また次回に……。
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