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2011.02.15 Tuesday
ピアノ中級の壁(6)
前回の続きです。
教本選びの具体論の続きです。
●一冊の場合:発表会用の曲のみ(承前)
発表会で弾くかどうかともかく、いわゆる「曲」だけで練習を進める場合です。 このパターンの方も、けっこう多いと思います。
その理由ですが、おもに次の三つがあると思います。
2.の場合は、まあ趣味ですし、イヤなものはイヤなんで、特に申し上げることはありません。
問題は3.の場合です。 この主張に妥当性はあるのでしょうか?
●基礎練習は必要か?
この問題は、言い換えれば、「基礎練習は必要か」という問いになります。
この問いに「不要」と答える方法、すなわち「曲だけ練習すればよい」という方法を、ここでは「曲オンリー練習法」と呼ぶ事にしましょう。
「曲オンリー練習法」派の主張は、おそらく、次のようなものでしょう。
●曲オンリー練習法が正しい場合
正しい理由は、上の「曲オンリー練習法」派の主張そのものです。
もし、弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら……ここんとこ、大事なので繰り返しますね……『弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら』、まさにそのとおりだと思います。
●曲オンリー練習法が間違っている場合(1)「読譜力」
しかし、いろいろな曲を弾きたいのなら、この主張は間違っていると思います。
主な理由は次の二つです。
一つ目の理由は、曲オンリー練習法は基本的に暗譜型の練習法になるので、読譜力をつける事が極めて難しからです。
もし、『弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら』、この欠点は目立ちません。 なぜなら、ドレミと数えようが耳コピしようが何でもいいですから、ひたすら暗譜してしまえば、かなりレベルの高い曲でも弾けるからです。
しかし、何十曲も暗譜する事は、驚異的な記憶力の持ち主でもない限り、できません。
●曲オンリー練習法が間違っている場合(2)「効率」
二つ目の理由は、曲オンリー練習法は効率が悪いからです。
基礎練習でも曲の練習でも、練習によって習得したテクニックの「一部」は、ピアノを弾くための基礎力となって定着していきます。
ただし、曲の練習による基礎力の定着率は、基礎練習による基礎力の定着率より、悪いはずです。
なぜなら、基礎練習は基礎力の習得と定着に特化した練習なので、曲の練習より効率的に基礎力を定着させるはずだからです。
基礎練習には余計な時間が必要ですが、より効率的に「基礎力の資産」を形成していきます。 いろいろな曲を弾くためには、この「基礎力の資産」が必要です。
最初のうちは、基礎練習に振り向ける時間の分だけ損をしますが、どこかで、一曲の習得にかかる時間や、高いレベルへの到達に要する時間の総計で、曲オンリー練習法に勝ちます。
これは、
【基礎練習の基礎力定着率 > 曲練習の基礎力定着率】
が成立する限り、数学的に、真です。
逆に、もし上の式が成立しないのなら、「曲オンリー練習法は効率が悪い」という主張も成立しません。
明らかに成立しない場合が、少なくとも一つ、あります。
それは、『弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら』、その曲をひたすら練習した方が、その曲を弾くために必要な基礎力(だけ)を効率的に習得できるからです。
●一冊の場合:発表会用の曲のみ(再び承前)
要するに、一冊の場合のオススメの教本は、無し、ということです。 曲オンリー練習法では、中級の壁は乗り越えられない……少なくとも、至難の業だと思います。
今回は、めずらしくちょっと過激(?)に主張してみました。
もちろん、どう考えるかは、人それぞれです。
ただ、私が思うに、「大人でゼロから始められた方」が、「中級の壁」のあたりで行き詰まりを感じているのなら、自分の弱点を補強するための教本を探して基礎練習もやってみた方がよいのではないか、と、余計なお節介をやいているのです。
あ、そうそう。 最後に一つだけ補足しておきます。
いくら基礎が大切だからといって、ド初心者がハノンみたいな練習に取り組むのは最悪です。 ド初心者に必要なのは、練習の効率ではなくて、ピアノを弾く楽しさ、面白さを知る事です。 じゃんじゃん、簡単だけど楽しい曲、弾きましょう!
しつこく、まだ続きます……。
●一冊の場合:発表会用の曲のみ(承前)
発表会で弾くかどうかともかく、いわゆる「曲」だけで練習を進める場合です。 このパターンの方も、けっこう多いと思います。
その理由ですが、おもに次の三つがあると思います。
- 時間が無くて練習曲にまで手が回らない
- とにかく基礎練習はイヤだ
- 弾きたい曲を練習すれば、それが基礎練習になる
2.の場合は、まあ趣味ですし、イヤなものはイヤなんで、特に申し上げることはありません。
問題は3.の場合です。 この主張に妥当性はあるのでしょうか?
●基礎練習は必要か?
この問題は、言い換えれば、「基礎練習は必要か」という問いになります。
この問いに「不要」と答える方法、すなわち「曲だけ練習すればよい」という方法を、ここでは「曲オンリー練習法」と呼ぶ事にしましょう。
「曲オンリー練習法」派の主張は、おそらく、次のようなものでしょう。
将来、音大進学を目指すならともかく、趣味で弾くなら基礎練習に時間を費やすのは無駄。 弾きたい曲を弾くためのテクニックは、弾きたい曲そのものの中にあるのだから、それを練習すればよい。 難しいところがあれば、部分練習すればよい。私は、この主張は、半分正しく、半分間違っていると思います。
●曲オンリー練習法が正しい場合
正しい理由は、上の「曲オンリー練習法」派の主張そのものです。
もし、弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら……ここんとこ、大事なので繰り返しますね……『弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら』、まさにそのとおりだと思います。
●曲オンリー練習法が間違っている場合(1)「読譜力」
しかし、いろいろな曲を弾きたいのなら、この主張は間違っていると思います。
主な理由は次の二つです。
一つ目の理由は、曲オンリー練習法は基本的に暗譜型の練習法になるので、読譜力をつける事が極めて難しからです。
もし、『弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら』、この欠点は目立ちません。 なぜなら、ドレミと数えようが耳コピしようが何でもいいですから、ひたすら暗譜してしまえば、かなりレベルの高い曲でも弾けるからです。
しかし、何十曲も暗譜する事は、驚異的な記憶力の持ち主でもない限り、できません。
●曲オンリー練習法が間違っている場合(2)「効率」
二つ目の理由は、曲オンリー練習法は効率が悪いからです。
基礎練習でも曲の練習でも、練習によって習得したテクニックの「一部」は、ピアノを弾くための基礎力となって定着していきます。
ただし、曲の練習による基礎力の定着率は、基礎練習による基礎力の定着率より、悪いはずです。
なぜなら、基礎練習は基礎力の習得と定着に特化した練習なので、曲の練習より効率的に基礎力を定着させるはずだからです。
基礎練習には余計な時間が必要ですが、より効率的に「基礎力の資産」を形成していきます。 いろいろな曲を弾くためには、この「基礎力の資産」が必要です。
最初のうちは、基礎練習に振り向ける時間の分だけ損をしますが、どこかで、一曲の習得にかかる時間や、高いレベルへの到達に要する時間の総計で、曲オンリー練習法に勝ちます。
これは、
【基礎練習の基礎力定着率 > 曲練習の基礎力定着率】
が成立する限り、数学的に、真です。
逆に、もし上の式が成立しないのなら、「曲オンリー練習法は効率が悪い」という主張も成立しません。
明らかに成立しない場合が、少なくとも一つ、あります。
それは、『弾きたい曲が1曲かせいぜい数曲なら』、その曲をひたすら練習した方が、その曲を弾くために必要な基礎力(だけ)を効率的に習得できるからです。
●一冊の場合:発表会用の曲のみ(再び承前)
要するに、一冊の場合のオススメの教本は、無し、ということです。 曲オンリー練習法では、中級の壁は乗り越えられない……少なくとも、至難の業だと思います。
今回は、めずらしくちょっと過激(?)に主張してみました。
もちろん、どう考えるかは、人それぞれです。
ただ、私が思うに、「大人でゼロから始められた方」が、「中級の壁」のあたりで行き詰まりを感じているのなら、自分の弱点を補強するための教本を探して基礎練習もやってみた方がよいのではないか、と、余計なお節介をやいているのです。
あ、そうそう。 最後に一つだけ補足しておきます。
いくら基礎が大切だからといって、ド初心者がハノンみたいな練習に取り組むのは最悪です。 ド初心者に必要なのは、練習の効率ではなくて、ピアノを弾く楽しさ、面白さを知る事です。 じゃんじゃん、簡単だけど楽しい曲、弾きましょう!
しつこく、まだ続きます……。
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