スマホ版(PCの時は無効)
2015.04.01 Wednesday
大人のピアノの学習メソッド:初心に帰って座る位置を見直す
●演奏姿勢はやはり大切
前回の記事で、「ピアノは目で弾け」という考え方を紹介しました。その是非はともかく、「楽譜をしっかり見ながら練習する」という事に異論は無いでしょう。
ところが、あくまでも私の場合ですが、知らず知らずのうちにピアノに近づきすぎていました。これが、「楽譜をうまく読めない」要因の一つだったのではないかと思います。
初心に帰って、座る位置を見直してみました。
●視線移動の観点から
試しに、ピアノの前で次のようにしてみてください。
「瞬間的」に元の場所が分かりましたか?
できないはずです。一瞬、視線が泳いで楽譜上の見ていた場所を探してしまうはずです。
これが、「楽譜を見ながら弾けない」大きな原因の一つです。
「楽譜を見ながら弾けない」とお悩みの方々、心当たり、ありませんか?
では、どうすればいいのでしょう? いろいろ、試してみてください。
すると、たぶん、次のようなことに気付くはずです。
やってみてください。首が上下に動くと、明らかに元の場所を見つけるのが遅くなります。
という事は、「部分ブラインドタッチ(=原則楽譜を見て、ときどき鍵盤をチラ見する)」を実践しよう、と考えると、着座位置が自動的に決まります。下のようにすればいいのです。
楽譜と鍵盤の間で自然に視線移動ができる位置まで体を引くと、あ〜ら不思議! 「腕が左右に自由に動く位置」で「背筋を伸ばしている」状態になります。これ、自分で気付いて、自分で「目から鱗」でした。(←何を今さら気付いているんだ!・・・と突っ込まれそう・・・笑)
※もちろん、首をギプスで固定したように絶対に動かすな、ということではありません。しかし、楽譜と鍵盤の間で首をヒョコヒョコ動かしながら演奏するピアニストは、まずお目にかかれません! (シロウトは、けっこう、いる・・・笑)
●譜面台の高さ
上の着座位置調整のテクニックを使うためには条件があります。それは「譜面台の高さ」です。
グランドピアノの場合、譜面台の高さは、ほぼ1mになります。この高さが原則です。
私のピアノYAMAHA C1Xで実測したら98cmぐらいでした。まあ、数cmは気にする必要は無いと思います。
しかし、大半の電子ピアノやアップライトピアノの場合、高さが足りません。このままでは「うつむき弾き」を助長してしまいます。
何らかの工夫をして譜面台の高さを1mにしてください。(以前にも同じ事を書いたのですが、例えば下のようにします。アップライトピアノでふたの裏が譜面台になるタイプの場合です。超カッコ悪いですが・・・笑)
ちなみに、もし私がこれからアップライトピアノを買うとしたら(グランド買ってしまったので、もう買いませんけど・・・笑)、この理由のためだけに、「グランドピアノ型譜面台」のある機種を買います。(電子ピアノでも、できるだけ譜面台位置の高い機種)
●足を組んでみよう
ピアノとの距離感をつかむために、もう一つの方法を思いつきました。
足を組んで、椅子に座ってください。その状態でピアノに近付いてください。当然、「ひざ」が当たって、これ以上、前に行けない位置があるはずです。
そこで、足を組んだまま演奏・・・してはいけません!(笑)
ちゃんと足を開きます。
すると、あ〜ら不思議! 先ほどの楽譜と鍵盤の視線移動から決めた着座位置と、ほぼ一致するではありませんか!
この状態で自分の足元を見ると、ひざ関節がピアノ前面のほぼ真下にあるはずです。(ピアノの前面を垂直におろしたラインが、ひざの前面から5cm〜10cmぐらいに来る感じです。)
これは、人体比率という考え方のちょっとした応用です。もちろん個人差がありますから、ベストポジションを探るために、少し前後に移動してみてください。
特に、足のスラッと長い八頭身美人の場合は、少し離れすぎかもしれません。私のような胴長短足のオヂサンとは違うと思いますので、調整は必要です。
とにかく、これに気付いてから、YouTubeとかで、プロやピアノの上手い人の「ひざ」の位置を注意して見るようにしてます。人によって、ひざが若干ピアノの下に入ったり、離れたりする事はありますが、ほぼこの位置です。
一方、「ピアノを独学で始めて数か月」とかの人の中には、ひざどころか、太腿が半分くらいピアノの下に潜り込んでいる例があります。ピアノに近すぎるのです。
※なお、身体のプロポーションが完成してない小さなお子さんの場合は、この方法は使えないかもしれません。その点はご注意ください。
●正しいピアノとの距離感が、読譜力や脱力に影響
上に書いたように、正しいピアノとの距離感が楽譜と鍵盤との視線移動を容易にし、読譜力向上のプラスになります。
さらに、ピアノとの距離感が適切だと、楽譜だけでなく鍵盤も見やすい! 楽に全体を見渡すことができます。
これは当たり前で、上下の視線移動がしやすい、ということは、鍵盤の左右の視線移動もしやすい位置のはずです。
何だか、客観的で冷静な演奏ができそうな気がしてきます。「鍵盤を見て弾く」という点からもプラスです。
それだけでありません。
この姿勢でわざと、鍵盤凝視弾き、うつむき弾きをしてみてください。
おそろしく前のめりになってしまって、腰に負担がかかります。無意識に体を起こしてしまいます。(さもなければ、ズルズルとピアノにすり寄って行ってしまいます。典型的な「悪い癖」です。)
あるいは、「腕の重みを鍵盤に乗せる」という感覚はどうですか? 少しピアノから離れている方が重みを乗せやすくありませんか? この「重みを乗せる」感覚が、脱力にプラスになっているはずです。
実は、「楽譜と鍵盤の視線移動から決めた位置」や「ひざを組んで決めた位置」は、「手や腕のフォームから決めた最適位置」とずれているかもしれません。このあたりは、ぜひともいろいろ調整してください。(正直、少し後ろすぎるかな、と感じる方もいると思います。)
ただし、上半身は容易に前後に動かせます。多少前かがみになるくらいなら、いかにも「パワー、入ってます!」で、まったく問題ないです。「今まで近すぎた」と思った方は、やや後ろの位置を試してみてもいいかもしれません。前のめりになりすぎた、楽譜に近づきすぎた、と思ったら、スッと背筋を伸ばせばいいのですから。
いずれにしても、着座位置は、演奏中は簡単には動かせません。安定した演奏姿勢は、おしり(笑)で決まるのです!
この、前後の着座位置、ピアノとの距離感は、想像以上に読譜力や演奏力に影響を与えているような気がします。
以上、些細なことですが、意外とこういう小さなところが「ピアノが弾けない」盲点になっているのかもしれません。
●ピアノはひざで弾け!・・・ってほどでもないかぁ(^^)
発表会などでは、「足を組んで座る」わけにはいきません。(笑)
ですから、正しい演奏姿勢をとった時の「ひざとピアノの前面との間隔」を覚えておくのです。
皆さん、発表会で自分の番が来ると、椅子の高さを直したり、前後に動かしたりしますが、緊張していてピアノに近付きすぎ、離れすぎになってしまい、それが原因で失敗してしまう事もあると思います。
演奏開始前に、落ち着いて、自分のひざを見ましょう。それで、きっと上手く弾けます。(ちょっとだけネ!)
前回の記事で、「ピアノは目で弾け」という考え方を紹介しました。その是非はともかく、「楽譜をしっかり見ながら練習する」という事に異論は無いでしょう。
ところが、あくまでも私の場合ですが、知らず知らずのうちにピアノに近づきすぎていました。これが、「楽譜をうまく読めない」要因の一つだったのではないかと思います。
初心に帰って、座る位置を見直してみました。
●視線移動の観点から
試しに、ピアノの前で次のようにしてみてください。
- どこでもいいから、楽譜の一点を見る
- 次に、うつむいて鍵盤をじっと5秒間、見る
- 顔を上げて、楽譜の元の場所を見る
「瞬間的」に元の場所が分かりましたか?
できないはずです。一瞬、視線が泳いで楽譜上の見ていた場所を探してしまうはずです。
これが、「楽譜を見ながら弾けない」大きな原因の一つです。
「楽譜を見ながら弾けない」とお悩みの方々、心当たり、ありませんか?
では、どうすればいいのでしょう? いろいろ、試してみてください。
すると、たぶん、次のようなことに気付くはずです。
- 鍵盤を見る時間を短くする(←まあ、これは当たり前)
- 首を動かさない。視線移動だけで鍵盤を見る(←こっちが重要!)
やってみてください。首が上下に動くと、明らかに元の場所を見つけるのが遅くなります。
という事は、「部分ブラインドタッチ(=原則楽譜を見て、ときどき鍵盤をチラ見する)」を実践しよう、と考えると、着座位置が自動的に決まります。下のようにすればいいのです。
楽譜と鍵盤の間で自然に視線移動ができる位置まで体を引くと、あ〜ら不思議! 「腕が左右に自由に動く位置」で「背筋を伸ばしている」状態になります。これ、自分で気付いて、自分で「目から鱗」でした。(←何を今さら気付いているんだ!・・・と突っ込まれそう・・・笑)
※もちろん、首をギプスで固定したように絶対に動かすな、ということではありません。しかし、楽譜と鍵盤の間で首をヒョコヒョコ動かしながら演奏するピアニストは、まずお目にかかれません! (シロウトは、けっこう、いる・・・笑)
●譜面台の高さ
上の着座位置調整のテクニックを使うためには条件があります。それは「譜面台の高さ」です。
グランドピアノの場合、譜面台の高さは、ほぼ1mになります。この高さが原則です。
私のピアノYAMAHA C1Xで実測したら98cmぐらいでした。まあ、数cmは気にする必要は無いと思います。
しかし、大半の電子ピアノやアップライトピアノの場合、高さが足りません。このままでは「うつむき弾き」を助長してしまいます。
何らかの工夫をして譜面台の高さを1mにしてください。(以前にも同じ事を書いたのですが、例えば下のようにします。アップライトピアノでふたの裏が譜面台になるタイプの場合です。超カッコ悪いですが・・・笑)
ちなみに、もし私がこれからアップライトピアノを買うとしたら(グランド買ってしまったので、もう買いませんけど・・・笑)、この理由のためだけに、「グランドピアノ型譜面台」のある機種を買います。(電子ピアノでも、できるだけ譜面台位置の高い機種)
●足を組んでみよう
ピアノとの距離感をつかむために、もう一つの方法を思いつきました。
足を組んで、椅子に座ってください。その状態でピアノに近付いてください。当然、「ひざ」が当たって、これ以上、前に行けない位置があるはずです。
そこで、足を組んだまま演奏・・・してはいけません!(笑)
ちゃんと足を開きます。
すると、あ〜ら不思議! 先ほどの楽譜と鍵盤の視線移動から決めた着座位置と、ほぼ一致するではありませんか!
この状態で自分の足元を見ると、ひざ関節がピアノ前面のほぼ真下にあるはずです。(ピアノの前面を垂直におろしたラインが、ひざの前面から5cm〜10cmぐらいに来る感じです。)
これは、人体比率という考え方のちょっとした応用です。もちろん個人差がありますから、ベストポジションを探るために、少し前後に移動してみてください。
特に、足のスラッと長い八頭身美人の場合は、少し離れすぎかもしれません。私のような胴長短足のオヂサンとは違うと思いますので、調整は必要です。
とにかく、これに気付いてから、YouTubeとかで、プロやピアノの上手い人の「ひざ」の位置を注意して見るようにしてます。人によって、ひざが若干ピアノの下に入ったり、離れたりする事はありますが、ほぼこの位置です。
一方、「ピアノを独学で始めて数か月」とかの人の中には、ひざどころか、太腿が半分くらいピアノの下に潜り込んでいる例があります。ピアノに近すぎるのです。
※なお、身体のプロポーションが完成してない小さなお子さんの場合は、この方法は使えないかもしれません。その点はご注意ください。
●正しいピアノとの距離感が、読譜力や脱力に影響
上に書いたように、正しいピアノとの距離感が楽譜と鍵盤との視線移動を容易にし、読譜力向上のプラスになります。
さらに、ピアノとの距離感が適切だと、楽譜だけでなく鍵盤も見やすい! 楽に全体を見渡すことができます。
これは当たり前で、上下の視線移動がしやすい、ということは、鍵盤の左右の視線移動もしやすい位置のはずです。
何だか、客観的で冷静な演奏ができそうな気がしてきます。「鍵盤を見て弾く」という点からもプラスです。
それだけでありません。
この姿勢でわざと、鍵盤凝視弾き、うつむき弾きをしてみてください。
おそろしく前のめりになってしまって、腰に負担がかかります。無意識に体を起こしてしまいます。(さもなければ、ズルズルとピアノにすり寄って行ってしまいます。典型的な「悪い癖」です。)
あるいは、「腕の重みを鍵盤に乗せる」という感覚はどうですか? 少しピアノから離れている方が重みを乗せやすくありませんか? この「重みを乗せる」感覚が、脱力にプラスになっているはずです。
実は、「楽譜と鍵盤の視線移動から決めた位置」や「ひざを組んで決めた位置」は、「手や腕のフォームから決めた最適位置」とずれているかもしれません。このあたりは、ぜひともいろいろ調整してください。(正直、少し後ろすぎるかな、と感じる方もいると思います。)
ただし、上半身は容易に前後に動かせます。多少前かがみになるくらいなら、いかにも「パワー、入ってます!」で、まったく問題ないです。「今まで近すぎた」と思った方は、やや後ろの位置を試してみてもいいかもしれません。前のめりになりすぎた、楽譜に近づきすぎた、と思ったら、スッと背筋を伸ばせばいいのですから。
いずれにしても、着座位置は、演奏中は簡単には動かせません。安定した演奏姿勢は、おしり(笑)で決まるのです!
この、前後の着座位置、ピアノとの距離感は、想像以上に読譜力や演奏力に影響を与えているような気がします。
以上、些細なことですが、意外とこういう小さなところが「ピアノが弾けない」盲点になっているのかもしれません。
●ピアノはひざで弾け!・・・ってほどでもないかぁ(^^)
発表会などでは、「足を組んで座る」わけにはいきません。(笑)
ですから、正しい演奏姿勢をとった時の「ひざとピアノの前面との間隔」を覚えておくのです。
皆さん、発表会で自分の番が来ると、椅子の高さを直したり、前後に動かしたりしますが、緊張していてピアノに近付きすぎ、離れすぎになってしまい、それが原因で失敗してしまう事もあると思います。
演奏開始前に、落ち着いて、自分のひざを見ましょう。それで、きっと上手く弾けます。(ちょっとだけネ!)
- この記事のトラックバックURL
- トラックバック
- Calendar
-
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
- Selected Entries
-
- 大人のピアノの学習メソッド:初心に帰って座る位置を見直す (04/01)
- Categories
-
- 大人のピアノの始め方 (9)
- ピアノ練習のヒント (40)
- 「大人のピアノ」私論 (37)
- 練習日記 (34)
- 私のピアノ歴 (19)
- 消音ピアノ&IT活用 (21)
- 雑記帳 (19)
- 目次 (1)
- 書評 (2)
- 大人のピアノの学習メソッド (4)
- Archives
-
- March 2021 (1)
- September 2019 (1)
- March 2016 (1)
- November 2015 (1)
- May 2015 (1)
- April 2015 (3)
- March 2015 (3)
- February 2015 (1)
- January 2015 (2)
- December 2014 (1)
- September 2014 (1)
- March 2014 (1)
- December 2013 (1)
- November 2013 (4)
- April 2013 (2)
- March 2013 (1)
- August 2012 (1)
- April 2012 (2)
- March 2012 (2)
- February 2012 (1)
- October 2011 (2)
- September 2011 (1)
- August 2011 (3)
- July 2011 (2)
- June 2011 (3)
- May 2011 (3)
- April 2011 (1)
- March 2011 (1)
- February 2011 (5)
- January 2011 (4)
- December 2010 (2)
- October 2010 (1)
- November 2008 (1)
- March 2008 (5)
- February 2008 (1)
- January 2008 (3)
- December 2007 (2)
- November 2007 (5)
- October 2007 (7)
- September 2007 (6)
- August 2007 (2)
- July 2007 (7)
- June 2007 (9)
- May 2007 (6)
- April 2007 (8)
- March 2007 (9)
- February 2007 (16)
- January 2007 (32)
- December 2006 (8)
- Links
- Profile
- Search this site.
- Mobile